旧暦と六曜

降る雪や明治は遠くなりにけり
 
これは中村草田男が昭和6年(1931年)に作った句です。

 

明治時代は1912年までなので、この句は明治が終わって19年たった頃の作です。

 

およそ30年の平成の世を経て令和の世になった今、昭和は遥か遠く、150年も前の明治維新ともなると、もはや古(いにしえ)と呼ぶほどに遠い時代なのかもしれません。

 

その明治の初め頃にグレゴリオ暦に改暦されたのですから旧暦が忘れ去られているのも致し方ないのでしょう。

 

その旧暦に今でも連動しているのが大安・仏滅などの六曜なのを御存知でしょうか。六曜とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の六つの星、六曜星のことです。

 

気にしない人にとってはどうでもいい話ですが、しかし今もなお大安や仏滅などの六曜は私たちの生活に多大なる影響を与えています。

 

まず思い浮かぶのは結婚式の日取りです。統計をみても大安の日に式をあげる方が多いことがわかります。仏滅の日には割引をする結婚式場もあるようですので大安や仏滅は現代においても意識されていることがうかがえます。

 

引っ越しは大安吉日にという方もいらっしゃるのではないでしょうか。葬儀については友引を避けることが私の地域では常識で友引の日を休館日としている斎場がほとんどです。

 

明治になり迷信として六曜を廃止する動きがありました。しかし人々の心から六曜を取り除くことはできなかったのでしょう。六曜は今も確実に根づいています。

 

その六曜は旧暦と連動しているのです。六曜は必ず、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の順で繰り返されます。この順番が変わることは基本的にありません。

 

ところがたまに変わることがあるのです。

 

今年の暦をみると
1月20日が先勝、その後は順番通り21日(友引)・22日(先負)・23日(仏滅)・24日(大安)と続きます。

 

そうすると25日は赤口になるはずです。しかし暦をみると2020年1月25日は先勝になっています。順番からいくと赤口なのにひとつとばして先勝になっているのです。

 

その理由は旧暦にあります。六曜は旧暦に連動しています。まず六曜の最初にくる先勝は一年のどこからはじまるのかということです。

 

それは旧暦の正月からはじまるのです。旧暦の1月1日が必ず先勝になります。今年の旧正月は1月25ですから順番でいけば赤口になるところが先勝になったのです。そのあとは友引・先負~と順番通り繰り返します。

 

その順番が次に変わるのが今年の2月24日。前日の23日が赤口ですので24日は先勝になるはずが友引になっています。

 

その理由は2月24日は旧暦の2月1日だからです。旧暦の2月1日は必ず友引になるのです。

 

その後も各月の旧暦の1日(朔日)ごとに六曜の星が決まっていてその星を先頭にして本来の順番をくりかえしていきます。

 

旧暦
1月1日  先勝
2月1日  友引
3月1日  先負
4月1日  仏滅
5月1日  大安
6月1日  赤口
7月1日  先勝
8月1日  友引
9月1日  先負
10月1日 仏滅
11月1日 大安
12月1日 赤口