命名

今、三組の御夫婦から子供の命名の相談を受けています。いずれも初夏に出産予定の方です。

そのうちの一組は第二子の命名で、最初のお子様の命名も担当させていただいたのですが、夫婦の考えがまったく違っていました。

母親の方は音重視、呼び名にこだわるタイプ。しかし、父親は、画数重視、凶数の名前など、とんでもないというタイプ。生まれ育った家が自営業で運勢を大切にされる家、それも姓名判断を信奉する家だったそうです。

母親は、「画数なんかどうでもいいやん」と何度もいうのですが、父親は「それはダメ。いい画数の名前にしないと絶対にダメ」と日頃は優しい方なのですが、画数のことになると奥様のいうことを受け付けないのです。

画数を気にする方に、気にするなといっても無理な話です。

そこで最初のお子さんは(女の子だったのですが)、母親が音、呼び名を決めて、それがいい画数になるような漢字を私のほうで選んで提案させていただきました。最終的に御夫婦ともに満足される名前が決まったことは幸甚でした。

先月、五歳になるその子をつれて我が家におみえになったのですが、愛らしく、そして、すくすくすぎるくらいに活発な女の子に成長されていて、華やいだ楽しい時間を過ごすことができました。

このたびの第二子は男の子のようですから、一姫二太郎です。父親はやはり、吉数のいい画数の名前にすることだけは譲れないとのこと。今回の依頼内容は「古風な名前を考えてほしい」でした。

そこで名前を考える際の常で、寅の刻から命名に取り組むこと数日、十数個の名前が候補としてあがり、その中から七つの名前を選び、今朝、御夫婦に提案しました。出産までにまだ時間があることですから、ゆっくりじっくり考えていただければと思います。

この御夫婦、初めて鑑定したのは母親がまだ独身時代の8年前です。
豊かで、かつ面白い感性の持ち主である印象が強かったことを覚えています。

その後、行きつけのカフェのオーナーの紹介で出会った方と縁があり結婚、そして長女が生まれ、初夏には長男が誕生。

8年の歳月で彼女の環境は大きく変わりました。豊かな感性は相変わらずですが、ときおりみせる表情に、あの子が母親になったのだなとしみじみと感じ入ることがあります。