初夢

長き夜の遠の眠りの皆目覚め 
波乗り船の音のよきかな

 

 一説によりますと正月二日、初夢の歌といわれるこの歌を書いた宝船の絵を枕の下において寝るといい初夢をみられるのだそうです。

 

 宝船には恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・布袋・福禄寿・寿老人の七福神が乗っていらっしゃいますので縁起がいいのは間違いないでしょう。

 

 これは室町時代からの慣習らしいのですが初夢の歌は回文の和歌だそうです。
回文とは「竹藪やけた」(たけやぶやけた)のように始めから読んでも終わりから読んでも同文になるようにかかれた文です。

 

英語でも「Madam I’m Adam」のようにあります。回文の歴史は古く2000年前のヨーロッパの遺跡にも残っているようです。日本でも平安時代に回文の和歌があります。

 

初夢の歌をもう一度

長き夜の遠の眠りの皆目覚め 
波乗り船の 音のよきかな
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな

 

 初夢の歌のおまじないの効果のほどはわかりませんが縁起のいい夢をみることができれば幸いです。


古代エジプトでは夢は神のお告げだと考えられていたようです。旧約聖書にも新約聖書にも夢のお告げの場面はでてきますしお釈迦様にも白象の夢の話があります。

 

ながきよの夢をゆめぞとしる君や
さめて迷へる人をたすけむ

 

 と歌ったのは鎌倉時代の名僧・明恵上人です。明恵上人は40年に及ぶ自らの夢を「夢記」に書き残しています。近代になりフロイトユングが夢に注目しましたが明恵上人はその700年前に夢に着目していたことになります。

 


たつ春の朝(あした)よみける
年くれぬ春来(く)べしとは思ひ寝に
まさしく見えて かなふ初夢
 山家集 西行

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